唐突ですが、貴社では計画や予算を策定されていますか?
資金調達のためには必須ですから、ほとんどの会社で作成されていることと思います。
でも本当は、資金調達のため以上に、貴社のために必要なのです。
それはなぜでしょうか?
リーマンショック、欧州危機、そして、東日本大震災と、私たちを取り巻く外部経営環境は、めまぐるしく、ドラスティックに動いています。このような、いわば嵐の中で、会社という小舟の舵取りをどうやっていけばよいのでしょう?
経営者なら誰でも不安に思われることでしょう。
かくいう私も、その一人です。
だからこそ、計画を立てることが重要なのです。
1-1.経営ビジョン
経営者なら、誰でも自分の経営ビジョンがあるはずです
たとえば、日本一の公認会計士事務所になってやる!と考えて、独立開業したとします。
日本一って、何だろう?顧客数が日本一なのか、売上で日本一を目指すのか、それとも顧客満足度で日本一になるのか?
つきつめて考えていきましょう。
私は、顧客満足度で日本一を目指すことにしました。
では、顧客満足度日本一って何でしょう?
どうすれば、顧客満足度を測ることができるのでしょう?
事務所のお客様に満足していただいただけでは、顧客満足度日本一にはなれません。
他の事務所のお客様の満足度は、どう測るのでしょう?
事務所のお客様と、他の事務所のお客様。どちらも満足してくださっています。どちらが、より満足しているか、どうすれば測れるのでしょう?
そこで、目標をより客観的な指標である数値に置き換えることにしました。
顧客満足度という主観的な指標では他社比較ができません。
満足いただければ、リピートしていただけるのでは?と考えて、リピート率という客観的な指標に置き換えて、測定することにしました。
リピート率100%を達成できたら、同率首位で、必ず1番、それも日本一です!
1-2.ビジョンを経営計画へ
では、リピート率100%を目指す、これを3年後に達成するためにはどうしたら良いでしょうか?
順番としては、
①お客様のNeedsを正確に把握する。
②Needsに沿ったサービスの提供を検討する。
③展開可能なサービスを提供する。
でしょう。
では、次にお客様のNeedsを正確に把握することにしましょう。
お客様のNeedsは、多種多様です。
継続的に、経営者の意思決定に資する様々な情報を提供して欲しいお客様もいらっしゃる一方で、余分なサービスは一切省いて、低料金をお望みのお客様もいらっしゃいます。
必要なサービスを、必要なお客様へ、これを当事務所の基本方針としました。
では、実現のためにすることは?
①お客様のご要望にお応えするためには、お客様との対話が重要です。
→ 毎月、お客様を訪問する。
②お客様に有益なサービスを提供するためには、お客様が気づいていらっしゃらない課題、その解決法を提供すること。
→ 毎月、訪問する際に、月次決算結果や、帳簿なども監査する。
③
1-3.経営計画を利益計画へ
会社が利益目標を達成するためには、現状を認識して、経営上の課題を分析、対応策を講じていく必要があります。そのために、目標とする利益予算をあらかじめ作成しておいて、実績との乖離を適時に把握する必要があります。これを予算統制といいます。
通常、企業では3年間の中期利益計画と、単年度利益計画を作成します。
●中期利益計画
中期利益計画は、会社の経営理念・ビジョンをもとに策定された経営戦略を実現するために販売活動、購買活動、生産活動などの具体的な事業計画を作成していきます。
●単年度利益計画
単年度利益計画は、中期計画の達成にむけて、それぞれの年度に何をするか、具体的な活動計画に落とし込んだ利益計画です。
中期利益計画は、内外の経営環境の変化に応じて、毎期見直しを行います。
適切な利益予算統制のために必要なこと
①自社の現状認識
まず、自社の利益構造を知ることが大切です。
予算は、将来予測です。過去の実績に基づいて、自社の属する業界や自社の特色を把握、分析することが何より重要なのです。このとき、自社の製品、サービス別に分析します。
②予算間の整合に注意
次に、経営理念や中期計画に基づいて売上計画を作成します。これを元に、製造予算、販売費予算など、各種予算を作成し、最終的に総合予算を作成し、見積貸借対照表、見積損益計算書、見積キャッシュフロー計算書などを作成します。
もちろん、各種予算が、相互に整合性をもっていることを確認する必要があります。
③責任会計の重要性
作成した予算を画餅に終わらせないために、責任の所在を明確にしておくことが重要です。
通常、組織上の単位で、予算作成することで、管理職の負う責任を明確にします。
このように作成した予算を元に、事業活動の結果を分析し、経営していくことがを予算統制です。
そのために、最も重要なのが月次決算なのです。
●月次決算
予算達成のためには、予算と実績を比較して、乖離が生じていれば、できるだけ早く対応していくことが重要です。適時に適正に予算統制をするためには、月次決算を年次決算に近づけ、その正確性を担保しておくことが望まれます。
●予実分析
月次決算に基づいて、予算と実績を比較し、重要な差異については原因を分析します。
その分析結果に基づいて、年度予算の達成に向けて、戦略の見直しなど、必要な施策を講じます。
●予算の見直し
予算の達成に向けては、ある程度の時期に、予算の達成状況、今後の達成見込みを正確に分析し、乖離が生じている場合には、修正を検討します。合理的理由もなく、頻繁に予算を修正することは、厳に慎むべきですが、一方で、達成不可能な予算のまにしておくよりも、達成可能な予算に見直しをするほうが、事業活動の統制には、有効です。