(1)今までの経緯
公営企業は、水道事業、病院事業等、地域住民に不可欠な公共サービスを提供する重要な役割を担っています。
しかし、公営企業を取り巻く環境は、少子高齢化、過疎化や、住民の生活の変化等により料金収入は減少傾向にある一方で、公営企業が保有する施設や設備の老朽化や耐震化のためのコスト増が見込まれるなど、厳しさを増しています。そして、今後も、ますます厳しさを増すことが予想されます。
そこで、平成21年度から25年度まで、公営企業の抜本改革が進められてきました。
公営企業の資本制度の見直しや、26年度からの新会計基準の全面適用など、公営企業の健全化に効果を上げてきました。
しかし、平成26年度移行も、公営企業が継続的に安定してサービスを提供していくためには、さらなる経営健全化を進めていく必要があります。今後は、主たる経営課題は、公営企業の健全化重視から、更新投資と健全化の両立を図る持続可能性も重視されることとなります。
そこで、平成26年8月、総務省から地方自治体に対して、「公営企業の経営に当たっての留意事項について」の通知が発せられ、公営企業が、必要な住民サービスを中長期にわたって安定的に継続できるように、地方自治体はその判断と責任によって、公営企業の経営、資産の現状を的確に把握して、経営戦略の策定とそれに基づく経営基盤の強化などに取り組むことを求めたものです。
経営戦略の策定に、新会計基準の適用が前提とはされていませんが、新会計基準の適用により入手できる精緻で正確な情報に基づくことで、より、適切な経営戦略が策定できるとされています。
そして、下水道事業、簡易水道事業に対しては、平成32年までに新会計基準を導入することを要請しています。
(2)経営戦略の概要
経営戦略とは、公営企業が将来にわたって安定的に事業を継続していくための中長期的な経営の基本計画です。そして、その中心となるのは、投資・財政計画です。
経営戦略は、基本的にすべての公営企業が経営戦略を策定するとされており、特に、経営基盤の脆弱な公営企業に、その必要性は高いとされています。
経営戦略策定の留意点は、以下の通りです。
経営戦略は、一般会計の関係部局と連携し、専門家の知見も取り入れて策定することとされています。
また、策定後だけでなく、策定の各段階において、適宜、議会、住民に説明を行い、その理解を得るよう努めることが重要です。
経営戦略の中心となる、投資・財政計画は、施設等の投資見通しである「投資試算」等の支出見通しと、財源見通しである「財源試算」が均衡するように調整した収支計画です。
当事務所では、経営戦略の策定支援を行っております。
経営戦略について、もう少し詳しく知りたい、策定を検討しているなど、お気軽に、お問合せください。