平成23年4月「地方公営企業法」が一部改正され、公営企業の資本制度の見直しが行われました。
その概要は、以下の通りです。
貸借対照表の利益剰余金、資本剰余金、資本金に勘定科目別に、改正点を整理してみました。
1.利益剰余金(当期純利益)に関わる改正
利益剰余金については、事業年度に計上した当期純利益に関わる利益処分について改正されました。
旧公営企業法によると、地方公営企業が毎事業年度の決算で当期純利益を計上した場合には、
1.繰越欠損金に充てる。
2.残額(当期純利益>繰越欠損金の
場合で、繰越欠損金を上回る当期
純利益の額)の20分の1以上を減
債積立金もしくは利益積立金に積
み立てる。
3.1.2以外による処分は、議会の
議決で決めなければならない
とされていました。(旧法第32条)
改正された公営企業法では、
1.当期純利益は繰越欠損金に充てる。
2.1以外は、条例または議会の議決を
経て行わなければならない。
となりました。(法第32条)
【改正点】
旧法で義務付けられていた、法定積立金(利益剰余金)の積立義務の廃止。
このほか、利益処分について、
議会の議決の他、条例による利益処分が可能となりました。
2.資本剰余金に関わる改正
従前、資本剰余金については
①その源泉別の内容を示す科目に積み立てなければならない。(旧法第32条5項)
②資本剰余金は政令等で定める(利益剰余金で賄えない欠損填補等)を除いて処分することはできない。(同6項)、とされていました。
改正された法32条3項には「毎事業年度生じた資本剰余金の処分は、条例の定めるところにより、または議会の議決を経ておこなわなければならない。」とされました。
3.資本金に関わる改正
改正された法32条4項に、「資本金の額は、議会の議決を経て、減少することができる。」と規定され、従前は認められていなかった減資が可能になりました。
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